
『ぼっち・ざ・ろっく!』とか、バンドを題材にしたアニメってあるけど昔にもこういうアニメってあったの?

あるよ。代表的なのが『けいおん!』
2009年に放送された作品で、今のバンドアニメにもつながる存在なんだ

2009年?そんなに前なんだ

しかも、ただバンドをやるアニメってだけじゃない。
当時のアニメや音楽の流れを語るうえでもかなり重要な作品なんだ
『けいおん!』は、2009年に放送されたテレビアニメです。
原作は、芳文社の「まんがタイムきらら」で連載された4コマ漫画。
高校の軽音楽部を舞台に、平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬たちが音楽活動を楽しみながら、学校生活を送る姿が描かれています。
その後、中野梓が加わり、5人による「放課後ティータイム」が結成されました。
テレビアニメは第1期『けいおん!』、第2期『けいおん!!』が制作され、2011年には劇場版も公開されています。
そして、『けいおん!』を語るうえで欠かせないのが、作品の中で演奏される楽曲です。
キャラクターが歌う楽曲はアニメファンの間だけにとどまらず、音楽チャートでも大きな存在感を見せました。
さらに、声を担当した声優陣が実際に楽器を演奏し、ライブを行ったことも大きな話題になります。
この記事では、けいおん!がどんなアニメなのかを紹介しながら、当時のアニメ事情や音楽との関係、そして現在のバンドアニメにつながる魅力まで見ていきます。
- けいおん!がどんなアニメなのか
- 放課後ティータイムのメンバーと魅力
- けいおん!が放送された2000年代後半のアニメ事情
- 「日常系」「きらら系」と『けいおん!』の関係
- 放課後ティータイムの楽曲が注目された理由
- 声優陣による実際のバンド活動
- 劇中に登場した実在アイテム
- 現在のバンドアニメへ続く流れ
- 原作漫画やゲームなど、その後の展開
『けいおん!』ってどんなアニメ?
けいおん!は、高校の軽音楽部を舞台にした日常系アニメです。
主人公は、平沢唯。
高校入学後、軽音楽部への入部を考えますが、最初から音楽に詳しかったわけではありません。
そもそも唯は「軽音楽」を「軽い音楽」だと思っていたほどの初心者でした。
そんな唯が田井中律、秋山澪、琴吹紬と出会い、軽音楽部で活動を始めます。
やがて1学年下の中野梓も加わり、5人で音楽を楽しむようになっていきます。
ただし、この作品で描かれるのは、バンド活動だけではありません。
部室でお茶を飲んだり、お菓子を食べたり。
学校行事に参加したり、みんなで出かけたり。
高校生として過ごす何気ない時間も、作品の大きな魅力になっています。
軽音楽部なのに、練習ばかりではない
「軽音楽部が舞台なら、ずっと演奏や練習をしているのでは?」
と思うかもしれません。
ところが少し違います。
もちろんライブに向けて練習する場面はあります。
しかし、物語の中心にあるのは5人の日常です。
軽音楽部の部室に集まり、みんなで過ごす。
その中で少しずつ人間関係が深まり、音楽も続いていきます。
だからこそ、ライブの場面では普段とのギャップが生まれます。
いつものんびりしている唯たちがステージに立ち、バンドとして演奏する。
この日常と音楽のバランスがけいおん!の大きな特徴です。
『けいおん!』が生まれた時代
『けいおん!』がテレビ放送されたのは2009年。
この時期のアニメを振り返ると現在とは少し違った空気がありました。
2000年代後半から2010年代初頭にかけては、ライトノベル原作の作品が数多くアニメ化されています。
『とある魔術の禁書目録』や『〈物語〉シリーズ』など、ファンタジーやバトル、独特の世界観を持った作品も人気を集めていました。
その一方で、女子高生たちの日常を中心に描く作品も存在感を強めていきます。
『ひだまりスケッチ』など、まんがタイムきらら系列から生まれた作品もその流れのひとつです。
そんな時代に登場したのがけいおん!でした。
京都アニメーションが手掛けた『けいおん!』
けいおん!を語るとき、京都アニメーションの存在も外せません。
京都アニメーションは、2000年代に『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』などを手掛けアニメファンから強い注目を集めていました。
『けいおん!』も、その流れの中で京都アニメーションを代表する作品のひとつになっていきます。
特に印象的なのが、キャラクターの日常を丁寧に描きながら、音楽シーンではしっかりと演奏を見せる映像です。
普段の何気ない仕草まで細かく描かれているからこそ、ステージに立ったときの姿にも説得力があります。
そして、この丁寧なキャラクター描写と音楽が組み合わさったことで、けいおん!は単なる「軽音楽部の日常アニメ」とは違った存在感を持つようになりました。
「きらら系」と「けいおん!」
けいおん!について調べていると、「きらら系」という言葉を目にすることがあります。
原作は、芳文社の「まんがタイムきらら」に掲載されていました。
同じ時代には『ひだまりスケッチ』など、まんがタイムきらら系列を原作とする作品もアニメ化されています。
女の子たちの日常を中心に描き、キャラクター同士の会話や関係性を楽しむ。
こうした作品群が広がっていった時代に、このマンガは登場しました。
ただ、けいおん!には大きな特徴があります。
それが、音楽を物語の重要な要素として扱ったことです。
日常の中でお茶を飲んでいる5人がライブでは実際にステージに立つ。
そして、その楽曲そのものが作品の外でも人気を集めていきます。
放課後ティータイムの5人
中心となるのが、平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓の5人です。
平沢唯
主人公の平沢唯はギターとボーカルを担当します。
軽音楽部に入った時点ではギター初心者。
それでも練習を重ね、少しずつ演奏できるようになっていきます。
明るくマイペースな性格で、軽音楽部の雰囲気を作っている存在でもあります。
秋山澪
秋山澪はベースとボーカルを担当。
5人の中では比較的しっかり者で、作詞も担当しています。
一方で、怖いものが苦手だったり、人前に出ることを恥ずかしがったりする一面もあります。
普段の姿とステージ上での姿、そのギャップも魅力です。
田井中律
ドラム担当の田井中律。
軽音楽部の部長でもあり、5人を引っ張っていく存在です。
細かいことを気にしない明るい性格で、唯とはまた違った形で部活を盛り上げています。
琴吹紬
キーボード担当の琴吹紬。
お嬢様キャラクターでありながら、いわゆる「お金持ちキャラ」のイメージだけでは終わらないところ。
お金持ちであることを前面に出すのではなく、穏やかで優しい性格。
みんなと一緒に高校生活を楽しんでいる姿も印象的です。
もちろん、合宿で別荘を使ったり、軽音楽部のティーセットが紬の私物だったりと時折その家庭環境が見えるところもあります。
唯がギターを購入するときの「もう一声〜」というやり取りも、紬らしさがよく出た場面です。

僕が『けいおん!』で一番好きなのはむぎちゃんです
中野梓
中野梓は、唯たちより1学年下の後輩。
ギターを担当し、軽音楽部に入部します。
真面目に練習したい梓と、楽しく過ごすことを重視する唯たちとの違いも、作品の面白さにつながっています。
5人それぞれに違った個性があり、その組み合わせによって「放課後ティータイム」というバンドが形作られていきました。
そして、この5人が演奏する楽曲こそ、けいおん!が単なる日常アニメでは終わらなかった大きな理由のひとつです。
放課後ティータイムが見せた「アニメの音楽」の可能性
けいおん!を語るうえでやはり外せないのが音楽です。
放課後ティータイムの楽曲は、劇中で流れるだけの「アニメの挿入歌」ではありませんでした。
オープニングやエンディング、劇中歌として発表された楽曲がCDとして発売され、音楽チャートでも上位に入っています。
2009年には、オープニングテーマの「Cagayake! GIRLS」がオリコン週間ランキング4位、エンディングテーマの「Don’t say “lazy”」が2位を記録。
さらに2010年には、「GO! GO! MANIAC」と「Listen!!」が、それぞれ週間ランキングで1位と2位を獲得しました。
アニメのキャラクター名義で発売された楽曲が、一般の音楽チャートでも上位に入る。
当時としては、それだけでもかなり印象的な出来事でした。
アニメの楽曲が作品の外へ広がった
けいおん!以前にも、アニメソングがヒットすることはもちろんありました。
ただ、この作品では、キャラクターが歌う楽曲そのものが作品の人気を支える大きな要素になっています。
「この曲が好きだからアニメを見る」
「この曲を実際に聴いてみたい」
そんな楽しみ方もできる作品でした。
さらに、劇中で使用された楽器や機材などにも注目が集まり、作品と現実の音楽文化が近づいていきます。
こうした広がりは、後のアニメ作品にもつながっていきました。
けいおん!とMステの記憶
けいおん!の音楽を語るとき、当時の音楽番組を思い出す人もいるでしょう。
特に印象に残っているのが、テレビ朝日系の「ミュージックステーション」です。

アニメの曲が音楽番組に出てくるってそこまで珍しくないよね?

今と比べると当時はもっと特別な感じがあったんだよ
2000年代後半から2010年代にかけては、アニメ関連の楽曲が少しずつ一般の音楽チャートでも存在感を増していました。
けいおん!の楽曲もその流れの中にあり、ランキングでの順位が話題になったことがあります。
当時のファンにとっては、「アニメのキャラクターが歌う曲が、普通の音楽ランキングに入っている」という状況そのものが大きな出来事でした。
ここは、現在のアニメソング事情と比べると分かりやすい部分です。
今ではLiSAのように、アニメ作品をきっかけとして幅広い層に知られるアーティストもいます。
『ラブライブ!』のμ’sがNHK紅白歌合戦に出場するなど、アニメ発の音楽が大きな舞台へ進出する例も増えました。
そうした現在の状況を考えると、けいおん!が登場した2009年は、アニメと音楽の距離が変化していく時期だったともいえます。
声優が本当にバンドをやった
そして、もうひとつ大きかったのが、声優自身による演奏です。
劇中では放課後ティータイムが実際に演奏しますが、その楽器演奏を担当したのは、キャラクターを演じる声優たちでした。
声優として活動する一方で楽器の練習を重ね、ライブでは実際に演奏する。
その集大成のひとつとなったのが、2011年にさいたまスーパーアリーナで開催された「けいおん!! ライブイベント ~Come with Me!!~」です。
約3万人を集めた大規模なライブで、主要キャスト5人がステージに立ちました。
アニメの中だけで存在していたバンドが、現実のステージにも登場したわけです。
現在では、声優が歌ったり、キャラクター名義でライブを行ったりすることは珍しくありません。
その先駆的な事例のひとつとして、けいおん!は今振り返っても印象に残ります。
今も歌われる「U&I」
劇中歌には、今でもファンに親しまれている曲があります。
そのひとつが「U&I」
放課後ティータイムの楽曲として作品内で使用され、唯と憂の関係性を感じさせる曲でもあります。
現在でも、平沢唯を演じた竹達彩奈さんがライブで「U&I」を歌う機会がありました。
当時のアニメを知らない人でも、現在のライブ映像をきっかけに楽曲へ触れられるのは、長く歌い継がれている作品ならではです。
けいおん!に登場した実在アイテム
この作品では、キャラクターが使っている楽器や小物にも注目が集まりました。
アニメのキャラクターと同じものを使ってみたい。
そんなファンの行動が、作品と現実をつなぐきっかけにもなっています。
平沢唯のギター
代表的なのが、唯のギターです。
作中で唯が愛用するギターは、彼女のトレードマークともいえる存在。
アニメをきっかけに同じギターに興味を持つ人も現れ、作品と実際の楽器との距離を縮める存在になりました。
秋山澪のヘッドホン
澪が使用していたヘッドホンも、放送当時から注目されたアイテムです。
特にAKGの「K701」は、ファンの間で「澪ホン」と呼ばれるようになりました。
キャラクターが身につけているものが、そのまま現実の商品として注目される。
こうした現象も、当時のファンにとっては作品をより身近に感じるきっかけでした。
カメラや文房具にも注目
ほかにも、劇中に登場するカメラや文房具など、実在する商品をモデルにしたアイテムがあります。
すべてを揃える必要はありませんが、作品を見返すときに「これ、実際にある商品なのかな?」と探してみるのも楽しみ方のひとつです。
印象に残るけいおん!の場面
けいおん!には、日常を描いた作品だからこそ印象に残る場面が数多くあります。

唯と憂が入れ替わる話はかなり印象に残ってる。
ああいう日常の中のちょっとした出来事がこの作品らしいんだよね
音楽やライブだけを中心にするのではなく、5人の学校生活や家族との関係まで描く。
だからこそ何気ないエピソードにもキャラクターの個性が表れています。
一方で、学園祭などで実際にステージへ立つ場面では、これまで積み重ねてきた日常が音楽という形で表現されます。
この緩急が、作品全体を通して大きなポイントになっています。
けいおん!から現在のバンドアニメへ
では、現在のバンドアニメとけいおん!にはどんなつながりがあるのでしょうか。
もちろん、現在の作品がすべて直接この作品の影響を受けていると断定することはできません。
それでも、女子高生とバンド活動を組み合わせた作品が広く受け入れられる土台を作った作品のひとつとして見ることはできます。
現在では、『BanG Dream!』や『ぼっち・ざ・ろっく!』、『ガールズバンドクライ』など、さまざまなバンド作品があります。
それぞれ作品の方向性は大きく異なります。
ぼっち・ざ・ろっく!との違い
特に比較しやすいのが、同じきらら作品のぼっち・ざ・ろっく!です。
どちらも女子高生とバンドを題材にしていますが、作品の描き方はかなり違います。
けいおん!では、軽音楽部で過ごす日常そのものが大きな軸になっています。
一方、ぼっち・ざ・ろっく!では、後藤ひとりの人間関係やコミュニケーションの苦手さ、バンド活動を通した成長などが物語の重要な要素になっています。
ぼっち・ざ・ろっ!の作者・はまじあきさんも、インタビューでけいおん!とは別のバンド4コマを作りたいという趣旨を語っています。
同じ「女子高生×バンド」という題材でも、作品ごとに違った方向性を作る。
その流れを見ると、2009年にけいおん!が登場したことの意味も見えてきます。
原作漫画とけいおん!のその後
アニメだけでなく、原作漫画も読んでおきたい作品です。
原作は4コマ漫画として始まり、アニメ終了後も関連作品が展開されました。
大学へ進学した唯たちを描く「けいおん! college」
梓たちの高校生活を描く「けいおん! highschool」
そして、2018年からは新たなメンバーを中心にした「けいおん!Shuffle」も連載されています。
完結したと思っている人も多いかもしれませんが、漫画ではその後も世界が広がっています。
アニメを見終わったあとに原作を読んでみると、また違った形で作品を楽しめます。
けいおん!にはゲームもあった
けいおん!はゲームにもなっています。
代表的なのが、セガから発売されたPSP用ソフト「けいおん!放課後ライブ!!」です。
2010年に発売され、放課後ティータイムの楽曲を使ったリズムゲームとして楽しめました。
その後、2012年にはPlayStation 3向けのHD Ver.も発売されています。
アニメ、音楽、ライブ、漫画、ゲーム。
ひとつの作品から、さまざまな楽しみ方が広がっていったことも、この作品を語るうえで外せない部分です。
今も残るけいおん!
2009年に始まったけいおん!は、すでに放送からかなりの年月が経っています。
それでも、作品の楽曲を聴いたり、キャラクターの使っていた楽器やアイテムを探したり、舞台となった場所を訪れたりするファンはいます。
そして何より、現在のバンドアニメを見ていると、そこから少し時代をさかのぼって、この作品に興味を持つきっかけがあります。

今のバンドアニメから昔の作品をたどっていくとけっこう面白そう

そうだね。今の作品を知っているからこそ当時の作品を見ると違いも分かるし、逆に共通する部分も見えてくるよ
けいおん!は、ただ「昔人気だったアニメ」として片付けられる作品ではありません。
日常系アニメとしての人気。
放課後ティータイムによる音楽。
声優自身が楽器を演奏したライブ。
そして、アニメと現実の音楽文化をつないだ存在感。
こうした要素が重なったことで、2009年当時のアニメシーンに大きな足跡を残しました。
まとめ|けいおん!は今のバンドアニメにもつながっている
けいおん!は、高校の軽音楽部を舞台にした日常アニメです。
平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓の5人が「放課後ティータイム」として音楽を楽しみながら、高校生活を過ごしていきます。
一見すると、のんびりした日常を描く作品です。
しかし、放課後ティータイムの楽曲が音楽チャートで上位に入り、声優陣が実際に楽器を演奏してライブを行うなど、アニメと音楽の関係を大きく広げた作品でもあります。
現在のぼっち・ざ・ろっく!やBanG Dream!などのバンドアニメを知っている人なら、そこから少し時代をさかのぼってみるのもおすすめです。
今の作品とは違った空気を感じながら、「ここは今にもつながっているな」と思える部分を探してみる。
それも、今あらためてけいおん!を見る楽しみ方のひとつではないでしょうか。
