
あるゲームやってたらシナリオライターに伏見つかさって名前を見かけたんだけど…この人って、昔のアニメにも関わってるんだよね?

うん。代表的なのが『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』だね

タイトルは聞いたことある!妹モノのアニメなんだよね?

そうだね。でも、妹が可愛いだけの話ではないんだよ
学園アイドルマスターで、伏見つかささんの名前を知った人もいるかもしれません。
伏見つかささんは、学マスでメインシナリオとキャラクター設定を担当しているクリエイターです。
そして、そんな伏見さんの代表作として知られているのが、ライトノベル「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」
2010年にはTVアニメ化され、2013年には第2期も放送されました。
タイトルからすると、妹を中心にしたラブコメのようにも見えます。
もちろん兄妹の関係は物語の中心ですが、それだけではありません。
アニメやゲームが好きなのに、その趣味を家族にも友達にも隠していた少女。
その秘密を知ってしまった兄。
そして、同じ趣味を持つ仲間たち。
そこから始まる「人生相談」を通して、少しずつ人間関係が変わっていく物語です。
そして今振り返ると、2010年前後のオタク文化や秋葉原の空気が作品の中にかなり残っているところも、俺妹の面白さです。
俺の妹がこんなに可愛いわけがないはどんな作品?
俺妹は、伏見つかささんによるライトノベル作品。
2008年に電撃文庫から刊行が始まり、2013年まで全12巻が発売されました。
主人公は高校生の高坂京介。
そして、その妹が高坂桐乃です。
桐乃はファッション誌の読者モデルをしていて、学校の成績も優秀。
運動神経もよく、周囲から見れば何でもできる「完璧な妹」です。
ところが、そんな桐乃には誰にも言えない秘密がありました。
アニメやゲーム、それもいわゆる「妹もの」の作品が好きだったのです。
当然、そんな趣味を家族に知られたくはありません。
ましてや、普段ほとんど会話をしなくなっていた兄の京介に知られるとは、桐乃自身も思っていませんでした。
ところがある日、京介は自宅で見覚えのないDVDケースを見つけます。
その中身をきっかけに、桐乃の秘密を知ることに。
そして桐乃は京介に「人生相談」を持ちかけます。
ここから、それまでほとんど関わりのなかった兄妹の関係が少しずつ動き始めます。
桐乃が隠していた「好きなもの」
俺妹を語るうえで、桐乃がオタク趣味を隠していたことは外せません。
桐乃は普段からオタクらしさを見せているわけではありません。
むしろ、学校では誰もが認める美少女で、読者モデルまでしている人物。
そんな桐乃が、自分の部屋ではアニメやゲームを楽しんでいる。
このギャップが、作品の大きな面白さになっています。
しかも、秘密にしている相手は京介だけではありません。
父親にはオタク趣味を理解してもらえず、親友の新垣あやせにも自分の好きなものを話せない。
つまり桐乃にとって、「好きなものを好きだと言う」こと自体が簡単ではありませんでした。
今なら、好きなアニメやゲーム、アイドルなどを「推し」としてSNSで紹介したり、グッズを集めたりすることも珍しくありません。
もちろん、今でも趣味を隠している人はいます。
ただ、2010年前後の俺妹を見ていると、当時の「オタク趣味を周囲に知られたくない」という感覚が、今より強かったことを感じられます。
だからこそ、桐乃が自分の好きなものをめぐって京介に相談する姿には、単なるラブコメとは違った面白さがあります。
京介の「人生相談」から始まる物語
京介と桐乃は、もともと仲のいい兄妹ではありません。
むしろ、ここ数年ほとんど会話をしていないような状態。
そんな二人の関係を変えたのが、桐乃からの「人生相談」です。
桐乃は自分の趣味について京介に相談し、京介は文句を言いながらも妹のために動くことになります。
最初は「なんで俺が妹のためにこんなことを」といった態度だった京介。
ところが、桐乃の趣味を知り、同じ趣味を持つ人たちと出会い、妹のために行動していくうちに、京介自身もそれまで知らなかった世界へ入っていきます。
そして、この「人生相談」がきっかけになって、黒猫や沙織・バジーナたちとの関係も始まっていきます。
つまり俺妹は、一つの秘密を兄に知られたことから、人間関係がどんどん広がっていく物語でもあります。
黒猫・沙織・あやせたち
桐乃と京介だけでは、俺妹の魅力は語れません。
物語が進むにつれて、二人の周囲には個性的なキャラクターたちが集まってきます。
黒猫
桐乃と同じくオタク趣味を持つ少女で、長い黒髪とゴスロリ風の服装が印象的。
そして、かなりの中二病です。
自分の世界観を持っていて、独特な言動も多いキャラクター。
それだけ聞くとクセが強そうですが、作品が進むにつれて、黒猫の真面目なところや不器用なところも見えてきます。
京介との関係も、俺妹を語るうえで大きなポイント。

黒猫は当時からビジュアルが好きだったんだよね。中二病なところはともかく、あのゴスロリの服とかいいよね
そして、後半では「白猫」と呼ばれる姿を見せることもあります。
普段の黒猫とは違った雰囲気になるため、こちらの姿が好きというファンも少なくありません。
沙織・バジーナ
黒猫と桐乃をつなぐ存在であり、オフ会などでは「沙織・バジーナ」と名乗っています。
見た目や服装だけを見ると、当時の「いかにもオタク」といった雰囲気。
ところが、そんな彼女には大きなギャップがあります。
実はかなりのお嬢様。
普段の姿と素顔との違いは、俺妹のキャラクターの中でも特に印象に残る部分です。
沙織は桐乃や黒猫のような恋愛面のヒロインとは少し違う立ち位置ですが、二人を含めたオタク仲間をまとめる存在として、物語では重要な役割を担っています。
新垣あやせ
桐乃の親友。
オタク趣味とは無縁に見える普通の女の子で、桐乃とは学校では仲のいい友達です。
だからこそ、桐乃が隠していた趣味を知ったときの反応が大きな意味を持ちます。
「好きなものを隠している」という今回のテーマを考えるうえでも、あやせとの関係は外せません。
桐乃にとって、オタク趣味を理解してくれる京介や黒猫とはまた違う意味で大切な存在です。
俺妹と2010年前後のオタク・サブカル文化
俺妹を今振り返ると、物語の中に2010年前後のオタク文化がかなりそのまま残っていることに気づきます。
作中では、京介たちが秋葉原へ出かけたり、ゲームやアニメを買ったり、オタク仲間で集まったりする場面が描かれています。
特に印象的なのが、秋葉原の描写。
現在の秋葉原を知っている人が見ても大きく違うわけではありませんが、2010年前後の街の雰囲気を知っている人なら、「あの頃の秋葉原だ」と感じる場面もあるでしょう。
当時はライトノベルも非常に盛り上がっていました。
電撃文庫をはじめとする人気ライトノベルが次々とアニメ化され、深夜アニメとライトノベルが強く結びついていた時代。
俺妹も、その流れの中で生まれた作品のひとつです。
そして、現在との大きな違いとして感じられるのが、オタク趣味を「隠す」という感覚。
桐乃は、アニメやゲームが好きであることを家族にも、親友のあやせにも知られたくありませんでした。
一方で、京介や黒猫、沙織たちと出会ったことで、同じものが好きな人たちとは自分の趣味を共有できるようになります。
今なら「推し活」という言葉で表現できるような、好きなものを仲間と楽しむ姿。
ただ、当時は今ほど「好きなものを好きと言う」ことが当たり前ではありませんでした。
その違いを感じながら見ると、俺妹は2010年前後のサブカル文化を知る資料のような面白さもあります。
竹達彩奈・花澤香菜と「irony」
俺妹を語るうえで、声優陣も外せません。
桐乃を演じたのは竹達彩奈さん、黒猫を演じたのは花澤香菜さん。
当時、竹達さんは「けいおん!」のあずにゃん(中野梓)役などで人気を集めており、花澤さんも多くのアニメ作品で存在感を高めていました。
俺妹では、そんな二人がメインキャラクターを演じ、作品のプロモーションでも前面に登場。
2010年前後の深夜アニメらしい、声優と作品が一体になった展開も印象に残ります。
そして、俺妹の音楽といえば、やはり「irony」
ClariSが歌う第1期のオープニングテーマで、ClariSにとってもデビューシングルとなった曲です。
現在のClariSとはメンバー構成が異なりますが、「irony」は今でも俺妹を象徴する一曲として知られています。
そして、現在では桐乃役の竹達彩奈さん本人が「irony」を歌う機会も…
同じ「irony」でも、ClariSによるオリジナルと、桐乃を演じた竹達さんによる歌唱では、また違った面白さがあります。
また、俺妹第1期のエンディングテーマには、ニコニコ動画で楽曲を募集する企画が行われ採用された曲を出演声優が歌うという形式もありました。
今では動画サイトとアニメの連動企画は珍しくありませんが、当時のニコニコ動画を積極的に活用したアニメ作品の展開としても印象的です。
印象に残る俺妹の場面
俺妹には、桐乃と京介を中心にさまざまな出来事があります。
その中でも、特に印象に残る場面をいくつか挙げるなら、やはり「人生相談」は外せません。
物語そのものが、桐乃から京介への人生相談から始まっています。
そこから京介が妹のために動き、黒猫や沙織たちとの交流へつながっていく。
俺妹という作品を象徴する始まり方です。
もうひとつ印象に残るのが、沙織の正体。
普段は「沙織・バジーナ」としてオタク仲間をまとめている彼女が、実はお嬢様だったというギャップは、初めて見たときに驚いた人も多かったのではないでしょうか。
そして、桐乃とあやせの関係も忘れられません。
親友だからこそ、桐乃は自分の趣味を簡単には打ち明けられない。
その距離感が、桐乃の「好きなものを隠している」という設定をより強く感じさせます。
そして、アニメ版で強烈に印象に残るのが、麻奈実の桐乃への一撃。
あの場面はかなり本気です。まさかお腹殴るなんて思いませんよ…
アニメならではの動きもあって、原作を読んでいた人にも強く印象に残る場面になっています。
原作とアニメ、そして「実妹エンド」
俺妹はライトノベルが原作ですが、アニメ版も原作の物語をベースにしながら、独自の構成で展開していきました。
特に第1期は、通常のTV放送だけで物語を完結させるのではなく、後半のエピソードをネット配信で展開する「TRUE ROUTE」が用意されたことでも知られています。
そして第2期の「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」では、原作終盤までをアニメ化。
最終的に大きな話題となったのが、京介と桐乃の関係です。
タイトルからして「妹もの」ではありますが、作品を追ってきたファンにとっても、最後にどこへ着地するのかは大きな関心事でした。
そして原作で描かれた結末は、いわゆる実妹エンド。
アニメ版も原作終盤の展開をもとに、同じ結末へ向かいます。
この結末については当時から賛否があり、「俺妹といえば実妹エンド」というくらいに語られるほど、作品を象徴する話題になりました。
一方で、黒猫やあやせなど、桐乃以外のヒロインを好きになったファンも多くいました。
そのため、ゲームなどでは本編とは違うヒロインとの関係を描いたifルートも展開されています。
本編の結末だけではなく、「もし別の選択をしていたら」という楽しみ方ができたのも、俺妹らしいところです。
原作を読んでいない人なら、アニメを見たあとに原作を手に取ってみるのも面白いでしょう。
俺妹のその後とゲーム版
俺妹はアニメだけで終わった作品ではありません。
原作・アニメに加えてゲームも発売されており、本編とは異なる展開を楽しめる作品もあります。
特に、黒猫やあやせなど、それぞれのヒロインを好きになったファンにとっては、別ルートが用意されていること自体が大きな魅力でした。
「本編の結末は知っているけれど、このキャラクターとの別の可能性も見てみたい」
そんな楽しみ方ができるのが、ゲーム版の面白いところです。
アニメや原作とは少し違った俺妹を楽しみたい人なら、ゲーム版を探してみるのもいいでしょう。
当時の「俺妹」を振り返る
2010年の俺妹を今振り返ると、作品そのものだけでなく、その周囲まで含めて「当時のアニメ」という感じがします。
ライトノベルが次々とアニメ化され、ニコニコ動画で作品を楽しみ、秋葉原がオタク文化の中心として描かれる。
そして、作品のラッピング電車が走るなど、大きなプロモーションも行われていました。
今ではSNSを通して作品を知り、好きな作品やキャラクターを「推し」として楽しむことが当たり前になっています。
俺妹の桐乃たちも、好きなアニメやゲームについて仲間と語り、グッズを集め、イベントへ出かけていました。
もちろん、当時と今では環境は大きく違います。
それでも「好きなものを誰かと共有したい」という部分は変わりません。
そう考えると、俺妹は2010年前後のオタク文化を描いた作品でありながら、今の「推し活」にもつながる部分を持った作品なのかもしれません。
まとめ
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は、京介と桐乃の兄妹関係を中心に、アニメやゲームが好きな少女と、それを取り巻く仲間たちを描いた作品です。
黒猫や沙織、あやせたちとの関係を通して、桐乃が自分の「好きなもの」と向き合っていく姿も描かれています。
そして今振り返ると、秋葉原やライトノベル、ニコニコ動画など、2010年前後のオタク・サブカル文化が作品の中に残っていることも大きな魅力。
当時この作品を見ていた人には、あの頃のアニメや秋葉原の雰囲気を思い出させてくれる作品。
知らない世代にとっては、「昔はこんなふうにオタク文化が描かれていたんだ」と知るきっかけになる作品です。

今の推し活と比べてみると桐乃たちもやってること自体は結構近いんだね

そうだね。時代は変わっても好きなものを誰かと楽しみたいっていうところは変わらないんだと思うよ

タイトルだけだと妹の話って感じだけど結構いろんなものが詰まってるんだね

うん。だからこそ、今あらためて見ると当時の空気まで楽しめる作品なんだよ

